はじめに
2025年12月、Instagramはアカウント運用における重要な仕様変更を発表しました。フィード投稿およびリールに追加できるハッシュタグの上限が、従来の30個からわずか5個へと大幅に制限されます。
この変更は、「ハッシュタグは数を増やすほど効果的」という従来の運用手法を採用してきた企業にとって、戦略の根本的な見直しを迫るものです。本記事では、この制限の背景にあるInstagramの意図と、企業アカウント運用者が今後取るべき具体的な対応策を解説します。
制限の概要と実施状況
Instagramは現在、一部のアカウントから段階的にハッシュタグ5個制限を適用しています。この措置は過去1年間のテストを経て決定されたもので、最終的には全アカウントへの適用が見込まれています。
仕様変更の比較
| 項目 | 従来 | 新仕様 |
|---|---|---|
| 上限数 | 30個 | 5個 |
| 主な用途 | リーチ拡大 | コンテンツの分類・文脈補足 |
| 推奨される選定方法 | 関連ワードを網羅的に使用 | 最も関連性の高いワードに厳選 |
制限導入の背景
1. スパム対策と投稿品質の向上
従来の30個という上限は、投稿内容と無関係な人気ハッシュタグを大量に付与することで、不当にリーチを獲得しようとする行為を助長していました。例えば、飲食店の投稿に無関係な「#旅行」「#ファッション」などのビッグワードを付与するケースです。
5個への制限により、企業は真に関連性の高いハッシュタグの選択を迫られ、結果として検索結果やおすすめフィードの質が向上することが期待されています。
2. AIレコメンド機能の進化
Instagram責任者のアダム・モッセーリ氏は、ハッシュタグの役割について次のように述べています。
「Instagramは、投稿された画像や動画、キャプションのテキストを解析することで、コンテンツの内容を非常に正確に理解できるようになりました。ハッシュタグはもはや、コンテンツを適切なユーザーに届けるための主要な手段ではありません」
現在のAIは、ハッシュタグに依存せず、コンテンツの内容、ユーザーの行動履歴、エンゲージメントのシグナルに基づいて、最適なユーザーにコンテンツを届けることが可能です。この技術進化が、ハッシュタグの重要性を相対的に低下させています。
ハッシュタグの役割変化
モッセーリ氏は過去に以下のように発言しています。
「ハッシュタグは、投稿の内容を人々に知らせ、投稿同士を繋げるための優れた方法ですが、リーチを増やすための魔法の杖ではありません」
この発言が示すように、ハッシュタグの役割は「発見ツール」から「分類・文脈補足ツール」へと変化しました。
なお、Meta社が運営するThreadsでは、既に1投稿につき1つまでのトピックタグ制限が設けられています[3]。この方針は、Metaグループ全体での一貫した戦略であることを示しており、Instagram の5個制限も長期的な方針転換と捉えるべきです。
企業アカウントの新運用戦略
ハッシュタグが5個に制限された環境では、「量」ではなく「質」と「戦略」による運用が求められます。
戦略1:ターゲットを絞り込んだハッシュタグ選定
限られた5個の枠を最大限に活用するため、汎用的なビッグワード(例:#グルメ)を避け、投稿内容に最も関連性が高く、ターゲット層が実際に検索するであろう具体的なワードを選定します。
具体例
- × 「#カフェ」「#ランチ」
- ○ 「#京都隠れ家カフェ」「#烏丸御池ランチ」
地域や具体的なテーマを組み合わせたミドル・スモールワードを優先することで、より精度の高いリーチが期待できます。
戦略2:キャプションの戦略的活用
ハッシュタグの重要性が低下した分、キャプションのテキストがコンテンツ分類において重要な役割を担います。
実践ポイント
- キーワードをキャプションの冒頭や本文中に自然に組み込む
- 誰に何を伝えたいのか、明確な文脈を記述する
- Instagram の検索機能やおすすめアルゴリズムは、キャプション全体を解析している点を意識する
戦略3:コンテンツ自体の質的向上
AIが最も重視するのは、ハッシュタグではなくコンテンツそのものの質とエンゲージメントです。
重点施策
- AIが内容を正確に認識できる高品質な画像・動画の作成
- ユーザーが「いいね」「コメント」「保存」をしたくなる価値提供
- エンゲージメント率の向上によるコンテンツシグナルの強化
まとめ
Instagramのハッシュタグ5個制限は、単なる仕様変更ではなく、プラットフォームが「小手先のテクニック」から「コンテンツの本質的な価値」へと方針転換したことを示しています。
この変化は、本当に価値のあるコンテンツが適切なユーザーに届きやすくなる機会と捉えることができます。限られた5個の枠は、企業アカウント運用者に対し、投稿の目的とターゲットを明確化し、より戦略的な運用へとシフトすることを促しています。
今後のInstagram運用では、ハッシュタグ選定に時間をかけるよりも、ターゲット顧客に真に響く質の高いコンテンツ制作に注力することが、成果を上げるための鍵となります。
参考ソース
Social Media Today, “Instagram Implements New Limits on Hashtag Use,” https://www.socialmediatoday.com/news/instagram-implements-new-limits-on-hashtag-use/808309/
The Verge, “Instagram wants to limit hashtag spam,” https://www.theverge.com/news/847739/instagram-hashtag-spam-limit
Instagram Creators Official, “New hashtag guidance: Starting today, Instagram will allow up to 5 hashtags,” https://www.threads.com/@creators/post/DSalXGPCWM4/

